前作
#8693
———古文書に書かれた天使に心奪われたのは、まだほんの子供の頃だった 『深蒼の夜、上天に掛かる夜 翼の子は生まれ出でる』 それを読んでからというもの、満月になる度に家を抜け出して、何度も親を困らせた。 それでも、いつか古文書に書かれている翼の子に会うのだと、ずっと夢見ていた。 『翼の子導き育てる事適えば 大いなる秘術と為す地水火風の精霊の加護を唱え、秘儀を駆使すべし』 伝承が本当の事なのか、自分の手で確かめたかった。 だから神秘学や魔術を勉強しながら、百数十年に一度という…… 青みがかった月が、空の真中で真円を描く、その特別な夜を待った。 『即ち、翼の子—魔に魅入られては、悪魔となり』 『——聖に高じては、天使となるべし』 ———そして、その娘はそこにいた
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