好人物な優等生を演じている主人公・勾坂一重は、借りていた本を返しに図書室へ来た際、図書委員の女子生徒から理由もなく邪険な態度を取られてしまいます。
その女子生徒は「真柄 亜利美（まがら ありみ）」という名前でした。そういえば顔に見覚えがあります。
さらに思い起こしてみると、この亜利美と一重とは、成績上のライバル関係なのでした。二人ともトップ集団にいて、総合得点で全学年何位かを常に争っています。とはいえクラスが違うので、一重は彼女をまったく気にしていなかったのでした。ライバルだと認識したこともありません。
そういえば、この彼女とは入学以来一度も話したことがありません。確か一年生の間は同クラスでした。それなのにあいさつ程度の会話すらした憶えがないというのは、ちと尋常ではない事態です。

亜利美はクラスからも、学年全体からもちょっと浮いた存在です。クールビューティな容貌から男子の人気は高いのですが、近寄りがたく、同性の友達すらほとんどいない様子です。また、親もとを離れ現在一人住まいをしているらしいのです。この学校はわりと有名な進学校なので必ずしも不自然なことではないのですが、それにしても不思議な境遇です……。

“他人から嫌われる事”が最も我慢ならない性格の一重は、亜利美に対して、まず「親切にする」ことからアプローチを始めます。次いで、亜利美が読んでいた本をきっかけに、二人はお互いの知識を戦わせるようになるのでした…。